F環は、土星の個別の環の中で最も外側にあるもので、数時間単位で特徴が変化する、恐らく太陽系の中で最も活発な環である。A環の外端から3,000kmに位置する。1979年にパイオニア11号によって発見された。非常に薄く、幅は数100km程度で、軌道の内側と外側に2つの羊飼い衛星プロメテウスとパンドラを持つ。
カッシーニに撮影された接近写真によって、F環は1つのコア環とその周りの螺旋構造からできていることが明らかとなった。また、プロメテウスが遠点で環と出会うと、重力によってF環にねじれやこぶが生じて、衛星が環から物質を「盗み」、環の内側に暗い流路を残すことが明らかとなった。プロメテウスは、F環の物質よりも速く土星を回っているため、新しくできた流路は、前にできたものより前方に約3.2度カーブする。
2008年、さらにダイナミックな動きが発見され、F環の中を公転する未発見の小さな衛星が、プロメテウスから受ける摂動のために常に動いていることが示唆された。そのうちの1つには、R/2004 S 6という仮符号が付けられた。