木星の大気は、水素分子とヘリウムから構成され大気における両者の比率は太陽と同じである。メタン、アンモニア、硫化水素、水等の化学物質も少量存在する。水は大気の深くにあると考えられているが、直接測定される量は非常に少ない。酸素、窒素、硫黄、希ガスの量は太陽より3倍多い。
木星には地殻がなく、大気は明確な境界なく徐々に液体状の木星の内部に遷移していく。下限から上限に向けて、大気の層は、対流圏、成層圏、熱圏、外気圏に分けられる。それぞれの層は、温度勾配によって特徴付けられる。最下層の対流圏は、複雑な雲のシステムを持ち、アンモニア、水硫化アンモニウム、水の層で構成される。木星の地表から見える上層のアンモニアの雲は、赤道に平行な数十の帯状であり、ジェットとして知られる赤道に平行な強い風によって区切られている。帯は色が異なり、暗い帯はベルト、明るい帯はゾーンと呼ばれる。ベルトよりも冷たいゾーンは上昇気流、ベルトは下降気流に相当する。ゾーンの明るい色は、アンモニアの氷のためであると考えられているが、ベルトの暗い色の原因は分かっていない。帯状構造とジェットの起源は良く分かっていないが、2つのモデルが提案されている。浅層モデルでは、安定な惑星内部を覆う表面の現象であるとし、深層モデルでは、バンドやジェットは、水素分子から構成される木星の円筒状のマントルの深層循環が表面に表れている。