大瀧詠一が当初から意図していた60年代ポップスの匂いがいっぱいの仕上がりとなったシリア・ポールの「夢で逢えたら」は、ナイアガラ・レーベル(かつて大滝詠一が主宰していたレコードレーベル)のメロディー・タイプの原型となった。やがてたくさんのカバー作品が誕生し、日本のガール・ポップのスタンダードとなっていくのだが、どういうわけかヒット曲が生まれなかった。
ガール・ポップを意識した曲だったのだから当然なのだが、「夢で逢えたら」は1976年に発表されてからの20年間で、サーカス、岩崎宏美、ELLE、桑名晴子、北原佐和子、坂上香織、香坂みゆき、森丘祥子、香西かおり、桃井かおりなど、すべて女性シンガーに歌われてきた。しかし1996年に「夢で逢えたら」のカバーを初めてヒットさせたのは、意外なことに鈴木雅之率いる男性ヴォーカル・グループ、ラッツ&スターだった。