抑えのバーネットが代打高橋由を空振り三振に打ち取ると、マウンドに歓喜の輪が広がった。ヤクルトがクライマックスシリーズ(CS)を初めて突破。初戦を落とした後の3連勝で14年ぶりの日本シリーズ進出を決め、真中監督は「ほっとしている」と穏やかな笑顔を浮かべた。
采配が的中した。CSで初めて先発起用した比屋根が、一回にチャンスメークして2点を先制。比屋根は二回にも適時打を放って、結果的に勝負を決めた3点目をたたき出した。継投も勝利への執念を感じさせた。粘りの投球を続けていた杉浦を五回で代え、その後は5投手による小刻みなリレー。七回途中にはオンドルセクの投入と同時に雄平を下げ、守備力の高い上田を右翼へ。捕手の中村が「一球も気が抜けなかった」と言うほどしびれるような展開で、監督は1点のリードを守り抜く強い意志を選手に示した。
この日の試合前に4番の畠山は「緊張感がないわけではないが、楽な精神状態で臨めている。レギュラーシーズン終盤の方が厳しかった」と話した。大混戦のリーグ戦を制した経験が、短期決戦のCSでも生きた。レギュラーシーズンと同じ7度宙に舞った真中監督は、「まだ先がある。こちらは挑戦者。胸を借りるつもりでやっていきたい」。強敵ソフトバンクとの日本一を懸けた戦いへ、気持ちを新たにした。