JR北海道の安全対策を助言する第三者委員会「JR北海道再生推進会議」が2015年6月26日、路線廃止を含めた経営見直しを提言したことを受け、ローカル線が集中する空知管内の沿線自治体からは不安と警戒の声が上がった。
「月形高の生徒の通学手段として、JRの必要性は大きい。もし、札沼線が路線廃止の対象になるのであれば遺憾だ」。月形町の桜庭誠二町長は危機感をあらわにする。
同校によると、全校生徒146人のうち、JRで通学するのは4割の58人。47人が札幌・当別方面、11人が浦臼方面から通学し、同校最寄りの石狩月形駅で乗降する。札幌市北区から通う菊地彰斗君(2年)は「代替手段としてバスが運行されても、列車より時間がかかる。通学は大変になってしまう」と懸念する一方、「高校生が声を上げても何も変わらないと思う」と諦めた様子で話した。
桜庭町長は「月形高は将来的な少子化を見据え、生徒の確保に努めてきた。現在の2間口を存続させるためには、路線の維持が不可欠」と強調する。同町総務課の久慈富貴課長は「提言書を機に不採算路線の廃止に向けた動きが加速するのではないか」と危惧する。
学園都市線が走る浦臼町の浦臼駅で列車を待っていた同町晩生内の女性(78)は「始発で(晩生内駅から)浦臼の郵便局に来て、これから自宅に帰るところ。JRは通院にも使うので、ないと困る」と話した。