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死亡した男性は昨年初めて愛好会に参加し、昇降機の操作や点検をほぼ一人で担当していたこともまつり関係者らの話で分かった。昨年2回目の運行だった3日夜は運行終了間際、電線を避けるため、扇を下げたところ、上がらなくなるトラブルがあった。男性が操作しているうち数十分後に回復。男性は運行後、小屋に戻ってから自分で修理したという。弘前市によると、3日は昇降機のトラブルがあった団体が複数あり、修理などの対応を市に報告するよう伝えたが、藤代ねぷた愛好会は報告しなかったため4日、関係者を呼び厳重注意していた。
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昇降機はねぷたの高さを調節する装置で、標識や電線などを避けるのに用いられる。大型化に伴い、重量が増している近年のねぷた本体を上げ下げさせるため、機械化されており、パワーのあるものが多い。そのため、取り扱いを誤れば重大な事故を引き起こす。本紙が取材した中でも「操作はベテラン会員が担当する」「点検は基本的にエンジンを止めて確認する」「担当者は無線機を所持するなど連絡体制を徹底している」など、その操作に細心の注意を払っている団体が多かった。それだけ、取り扱いには一層の慎重さが求められるものだろう。
昇降機に関して指針に盛り込まれる内容は、当たり前と言えば当たり前とも言えるが、祭り、特に運行中ともなれば、予定・計画通りに進まないこともあるだろうし、機械の故障や細かなトラブルも付き物だと思う。また参加団体の多くが、愛好会や町会のような親睦を旨とする組織のため、どうしても責任の所在があいまいになるケースもあるに違いない。
指針内容を「当たり前」と思わず、自らの団体の安全体制に問題がないか再確認したい。また今回の指針では他に「ねぷた運行中は全参加者が禁酒」「上乗りの安全ベルトの原則着用」「運行中に不具合が発生した場合はその場で直さない」「バック転など運行に無関係なパフォーマンスの禁止」などを盛り込むことにしている。
祭り運行中の飲酒の禁止は厳しい内容とも思えるが、さまざまな場面で飲酒が原因で引き起こされる事故事例を考えれば、運行中の飲酒は、最低でも責任者や機器類の操作担当者は慎むべきだろう。上乗りの安全ベルト着用などは、近年のねぷたまつりにおける事故事例から見ても大いに励行していきたい。安全指針は今後、参加団体数やコースなど未検討の部分を話し合い、来年3月上旬までに成案をまとめる予定だという。
今後は指針順守に向けた実効力ある体制づくりなどが話し合われていくというが、弘前ねぷたまつりの魅力は、自由な気風と参加団体の高い自主性によるところが大きい。“上”からの締め付けでなく、各団体の自主的な努力の積み重ねで事故のない祭りの実現を目指したい。