ジン(英語:Gin)とは、大麦、ライ麦、ジャガイモなどを原料とした蒸留酒。ジュニパーベリー(Juniper berry、主にセイヨウネズの球果)の上に流すことによって香り付けがされているのが特徴的。日本の酒税法上はスピリッツに分類される。蒸留酒の中では比較的個性が強くない上、西ヨーロッパでは古くから知られているため、そのまま飲むだけでなくカクテルの材料として最も多く使われているものの一つである。
19世紀以前のジンは、価格が安いわりにアルコール度数が高く、「労働者の酒」「不道徳な酒」というイメージがあり、貴族や健全な者の飲む酒ではないとされた。ウィリアム・ホガースの銅版画『ビール通りとジン横丁』はこのようなイメージから生まれたものであり、健康的な「ビール通り」と対比した堕落し、悪徳にまみれた街を「ジン横丁」として描いている。当時花婿の出費会計書に「ジン」の名が入っていたことを知った花嫁の親が婚約を解消したという逸話があるほどである。20世紀にはカクテルベースとして上流階級の間でも一般的になり、名門貴族の出であるウィンストン・チャーチルなどは、ストレートのジンに近い特注のエクストラ・ドライ・マティーニを愛飲していたという。