チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、1969年にクリム・チュリュモフとスヴェトラナ・ゲラシメンコが発見した周期6.57年の周期彗星である。2014年にヨーロッパ宇宙機関 (ESA) の探査機ロゼッタが周回軌道に到達、着陸機フィラエによる世界初の彗星着陸が行われた。
1969年、ソビエト連邦のアルマアタ(カザフスタンのアルマトゥイ)で彗星サーヴェイに参加するため、ソ連(現ウクライナ)のキエフのキエフ大学から、天文学者たちがアルマアタ天体物理研究所に集まっていた。9月11日にアルマアタ天体物理研究所のスヴェトラナ・ゲラシメンコがコマス・ソラ彗星 (32P/Comas Solá) を撮影し、その写真を調べたキエフ大学のクリム・チュリュモフは、写真乾板の端近くに彗星のような像を見つけた。
チュリュモフはそれをコマス・ソラ彗星だと思いこんだが、キエフに戻ったあと、乾板全体を詳細に調べてみた。翌月の10月22日、その天体はコマス・ソラ彗星の予想位置から1.8度も離れていたことがわかり、別の天体の可能性が高くなった。乾板をもっとよく調べると、予想どおりの位置にコマス・ソラ彗星がかすかに写っていたので、最初に見つけた天体は新彗星であることが明らかになった。