サザエは、腹足綱古腹足目サザエ科に分類される巻貝の一種。サザエ亜属の模式種。日本でサザエの壺焼きとして消費される。雌雄異体であるが、殻や軟体の外見からは区別できない。成熟した個体では生殖腺の色が異なり、雌が深緑色、雄がクリーム色となるが、生殖腺は殻の最奥部に位置するため通常は観察できない。現在知られている唯一の直接観察の方法は、内部の生殖腺の色が透けて見える程度に殻頂付近の殻表面を削る方法であるが、観察個体を傷つける可能性もあり、個体数が多い場合は手数がかかるため、養殖施設などでの実用にはあまり向かない。
潮間帯から水深30m程度までの岩礁に生息する。浅い場所には小型個体の密度が高く、大型個体ほど深所に生息する傾向がある。夜行性で、夜になると岩礁を動き回り、海藻を歯舌で削り取って食べる。幼貝のうちはイトマキヒトデやイボニシ、カニ類などに捕食されるが、成貝の敵はクロダイ、ネコザメ、タコ、ヒトなどである。
刺身、または殻ごと焼いた壺焼きで食べる。貝の出口側に筋肉質な部位があり、奥には緑色の内臓部がある。内臓部は、独特の苦みを持つ。その大部分は中腸腺であり、光過敏症などを引き起こす貝毒や重金属が蓄積しやすい。