ドルックスは、1932年(昭和7年)に発売された戦前の最高峰ブランド化粧品。容器の材質も吟味され、瓶に玉ガラスが採用されている。前田貢によるパッケージデザインは、伝統的な唐草模様をモダンに洗練させた逸品である。意匠部の創設以来、西欧のデザインを基礎に様々な試行錯誤を繰り返しながら追求してきた資生堂の唐草文様の到着点と言える。
ドルックスのパッケージデザインは、戦前に前田貢が完成させた「カリグラフ」に戦後は山名文夫が挑み、フランス・ロココ調の唐草文様をベースに、よりデコラティブな新しい唐草を生み出した。デザインは新しくなったものの、優雅で上品なたたずまいは継承されている。