『黄金バット』は、昭和初期の紙芝居のタイトルロールの主人公。金色の骸骨の姿をし、漆黒のマントを身にまとう。昭和40年代に漫画・映画・テレビアニメ化された。一般的には悪の象徴とされる骸骨であるが、『黄金バット』では正義のヒーローとして描かれている。その特有の「高笑い」と、共に現れる金色のコウモリが印象的である。
ヒーローとアンチヒーローの両面を持ち、その孤高の存在が斬新だった。一般に嫌われる髑髏という点でも、蜘蛛や蝙蝠を素材にしたアメコミヒーローに先行する。
『黄金バット』は1930年(昭和5年)、鈴木一郎原作で白骨面に黒マントの怪盗が活躍する街頭紙芝居シリーズ『黒バット』が好評だったことから、主人公を黄金色にした絵19枚を永松健夫が描いて誕生した。『黒バット』の最終回で、無敵で不死身の悪役である黒バットを倒す正義のヒーローとして突如、初登場した。この黄金バットが子供たちに大好評だったため、黄金バットを主人公とした新作紙芝居を蟻友会の後藤時蔵、高橋清三、田中次郎らが製作。当時の驚異的な当たり演目となる。