東京湾に浮かんでいるように見える“ピラミッド”としてシンボル的存在になっている東京湾アクアラインの「浮島換気所」(川崎市川崎区)。2010年10月に供用開始する羽田空港のD滑走路から約1キロの延長線上に位置し、高さ制限に抵触するため、換気所の上部が2010年の年明けに切り取られた。デザイン性よりも安全性を優先した形で工事は1月下旬に行われるため、ピラミッドの完全な姿は見納めとなった。
換気所は川崎市と千葉県木更津市を結ぶアクアラインの川崎側のトンネル入り口にあり、海底トンネル内の空気を入れ替えるための施設。1997年の道路開通時に設置された。高さは約47mで幅約60m、奥行き約84mのピラミッド状の施設で、換気設備を軽量鉄骨のピラミッドで囲むように立っている。
羽田再拡張に伴い建設中のD滑走路の延長線上に換気所があるため、航空機が安全に離着陸できるように航空法で定められた「進入表面」の基準に抵触することが判明。このため、国土交通省東京航空局は2010年1月下旬に”ピラミッド”の上部を切り取る作業を行った。
“ピラミッド”上部のボルトを外し、クレーンでつり上げて高さ約12メートル分を切り取る作業で、1日で終わる見通し。作業後は上部が平面になり、航空機の航行に支障はなくなった。