話は明治時代の弘前市下土手町まで遡ります。建物の正面中央にバルコニーと八角堂を上げた三階建ての白亜の洋館「かくみ呉服店」は他店を圧倒していて、 当時の商店街の象徴的な建物でした。その呉服店の軒先を通り抜ける小道は、鍛冶町につながる繁華街の近道として市民に親しまれてきました。
大正の時代を経て昭和になった頃、呉服店はその歴史に幕を下ろします。やがて火災に遭い建物は消失してしまいますが、軒先の小道は今も市民の手によって守られてしっかりと遺されています。 呉服店の屋号にちなんだ通りの名は「かくみ小路」。現在は様々な飲食店が軒を連ねるレトロなグルメスポットです。