こうしたパフォーマンスを、マクファーリンは聴衆を巻き込みながら行っていく。
例えば、彼が得意とする「アヴェ・マリア(バッハ/グノー作曲)」では聴衆に有名な主旋律を歌わせ、自身は伴奏音型(本来はピアノで演奏)を何事もないかのように平然と歌いこなしていくのだから、目を丸くするしかない。
この聴衆巻き込み型パフォーマンスに、ジャズ的なアドリブが加わっていくと、いよいよ本当にマクファーリンにしか成し得ないような世界へと突入していく。
聴衆と演奏家がインタラクティブ(双方向)にコミュニケーションをとるとは、どういうことなのか?何が大事なのか?
「ワークショップの達人」としてのボビー・マクファーリンの事例をみることで、各音楽家が一度は自問すべきかもしれない。