現在も拡大を続けている小笠原諸島の西之島(東京都小笠原村)。フジテレビの情報番組「Mr.サンデー」(日曜後10:00)が日本のテレビ局としては、初めて海上撮影に成功した。火山写真家、白尾元理氏の調査に同行し撮影が実現したもので、取材したディレクターは「まさに新しい大地が誕生しているところを目の当たりにし、感動した」と語っている。
昨年11月20日の火山噴火に伴って西之島付近に出現した新しい「陸地」。当初上空から確認された大きさは、西之島の南東約500mの海上に、直径約200m、標高約20mだった。その後、溶岩の流出で「陸地」は順調に拡大し「新島」へ。さらに「新島」は西之島につながり、海上保安庁の航空機が12月26日、西之島の陸の一部になったことを確認した。
白尾氏と取材班は父島を6月2日午後8時に出港し、3日午前2時に西之島周辺の海域に到着。そこから撮影を開始した。「グゥオ、グゥオ…ドドーン」という大地が呼吸しているような轟音と高波の中での撮影は17時間半に及び、現場海域を後にしたのは3日午後7時半。西之島におよそ50mまで接近するという貴重な映像となった。溶岩が海水に接して大量の水蒸気が上がり、冷やされた溶岩の塊が島の一部になろうとしている映像は圧巻。この様子は、上空からの撮影では確認が難しかった。
取材時の西之島は直径1kmほどの大きさ。白尾氏によると、火山弾による堆積で山が成長し、島の面積は活発な噴火活動によって流れ出た溶岩で広がり続けている。このスクープ映像は、8日の同番組で放送された。
白尾元理
1953年東京浅草生まれ.東京大学理学系大学院修士課程終了.専門は火山地質学・惑星地質学.現在は写真家・サイエンスライター.著書は『日本列島の20億年』・『世界のおもしろ地形』ほか多数.