押角駅は、岩手県宮古市和井内にあった、東日本旅客鉄道(JR東日本)岩泉線の駅。同線の廃線により2014年(平成26年)3月31日限りで廃止となった。
押角駅は、傾いた木製の単式ホーム1面1線を有する地上駅であった。茂市駅管理の無人駅であった。駅にはベンチや待合室は存在せず、駅舎・屋根もない。
駅附近には押角の集落があったが、現在は養鱒場と近くに自然で育てた鶏の卵を販売する養鶏場の2軒があるのみで、周囲は山である。国道340号に隣接しており、駅があることを示す小さな標識がある。雑草に埋もれた駅前広場の奥に仮設にしか見えない橋と階段があるが、その橋を渡り階段を上って左折し線路脇を50mほど歩くとようやく駅のホームにたどり着く。
前述の通り、橋を渡った先には国道340号があるが、この駅の周辺は押角峠と呼ばれる難所であり、道幅が狭く交通量も少ない。このため、国道と接続している駅とは思えないほどであり、これらのような事情から、この駅は一部の鉄道ファンから全国屈指の秘境駅として扱われていた。橋で駅と国道が結ばれている形だが、この橋は片側(駅側から見て左側)にしか柵がなく、渡る時は注意を要する。
駅は岩泉線の一番標高が高いところに近い。駅から約1.3km北には、同線最長の押角トンネル(2987m)があり、ほぼ全線にわたり勾配やカーブが連続する路線中で、この区間に限って列車は時速70kmを超える速度を出していた。周りは山で囲まれているが、NTTドコモのFOMAプラスエリアのためFOMAが使える。これは、NTTドコモ東北が管内のJR東日本すべての駅でFOMAを使えるようにしたためである。