サクラの原産地はヒマラヤ近郊と考えられており、現在ヨーロッパ・西シベリア・日本・中国はじめ北半球の温帯で広範囲に分布する。
日本ではサクラの開花が話題となる点において、他の植物とは一線を画す存在である。単に「桜」と言うと、桜の中で極端に多く植えられている品種のソメイヨシノを指すことが多い。
サクラは、バラ科サクラ属サクラ亜属に分類される落葉広葉樹である。春に白色や淡紅色から濃紅色の花を咲かせる。花は日本では鑑賞用途としては他の植物に比べ、特別な地位にある。果実を食用とするほか、花や葉の塩漬けも食品などに利用される。
園芸品種が多く、花弁の数や色、花の付け方などを改良しようと古くから多くの園芸品種が作られた。日本では固有種・交配種を含め600種以上の品種が確認されている。とくに江戸末期に出現したソメイヨシノ(染井吉野)は、明治以降、日本全国各地に広まり、サクラの中で最も多く植えられた品種となった。
日本では平安時代の国風文化の影響以降、桜は花の代名詞のようになり、春の花の中でも特別な位置を占めるようになった。桜の花の下の宴会の花見は風物詩である。各地に桜の名所があり、有名な一本桜も数多く存在する。サクラの開花時期は関東以西の平地では3月下旬から4月半ば頃が多く、日本の年度は4月始まりであることや、学校に多くの場合サクラが植えられていることから、人生の転機を彩る花にもなっている。サクラは公式に日本の国花ではないものの、国花の一つであるかのように扱われている。