(10)幻の孀婦岩 父島上陸の翌日、ふじ丸は丸一日かけて姫路まで航行します。その間、太平洋に浮かぶ孀婦岩を一周します。 孀婦岩で検索すると、この岩を登って制覇した…と言うような写真も出てきます。ここは航海の難所で、普通の定期船は夜に通過するのでなかなか見られない岩です。豊富な漁場と高い透明度からスキューバーダイビングをするために、この岩を目指すヒトもいます。海鳥の生息地となっているため、岩は鳥の糞で白くなっています | |
孀婦岩のGPSは、北緯29度47分39秒 東経140度20分31秒の位置にあります。面積は0.01kmしかなく、高さは99mあります。水面に対して垂直方向に柱状節理と呼ばれる岩肌が見られます。 鳥島の南約76kmに位置する孀婦岩には、2042年4月21日に鳥島と共に皆既日食が見られる日本で唯一の陸上となります。孀婦岩の頂上は足場を支える程度の岩盤しかなく、一歩足を踏み外すと海中に落下してしまいます。 | |
2042年4月20日(日)に孀婦岩で見られる皆既日食世界時間 日本時間 高度 方位 天頂角http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp21c/jpt2042.htmlを利用して計算。孀婦岩の皆既継続時間は4分51秒です。 | |
2042年4月20日(日)に鳥島で見られる皆既日食世界時間 日本時間 高度 方位 天頂角http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp21c/jpt2042.htmlを利用して計算。鳥島の皆既継続時間は、3分49秒です。 | |
朝6時頃に孀婦岩を周遊したふじ丸は、朝8時過ぎに鳥島へ近づきます。鳥島の北側には、気象庁鳥島気象観測所跡地がありました。まだその残骸も残っています。 1965年5月10日に国の天然記念物保護地域に指定されてからは、一般者は上陸が出来ない島となっています。鳥島には、年数回の学術目的調査で上陸する研究者だけが上陸を許可されています。2042年4月21日の皆既帯は、正午中心食の近くに陸地があるにも関わらず一般の観測者は今回と同様に客船で観測せざるを得ない状況です。 | |
(11)操舵室を見学 今日は、日程の中で唯一操舵室を見学できる日です。これまで操舵室や飛行機のコックピットにも入ったことがないのでどんなシステムで船が運航されているのか楽しみです♪ 右写真のオートパイロットと言うのは、事前にGPSを入力すれば目的地に連れて行ってくれるシステムらしいです。乗組員は普段船の前面を監視すればいいだけですが、まれに衝突する危険性があるのでいつでも手動で操作できるように準備しています。日食の前日に他の客船がふじ丸の前面を通過するニアミス事故がありました。船長は結構怒っていたらしいのですが、これだけ皆既帯に客船が集結することも珍しいので許してやってください(>_<) 操舵室後方にあるテーブルには、日本近海の海図があって職員が手書きで航行した海上航跡図を書いた跡があります。また雲の位置を察知するレーダーや見慣れない機器が多く置いてあって、にわか客船ファンになりそうです。 | |
船の揺れを抑えるフリンスタビライザーと言うシステムも初めて見たのですが、B4サイズの紙に収まってしまうほど小さな操作盤でした。操舵室が込み合ってきた頃、操舵室入口手前のふじ丸無線局で事務作業をしている職員がいました。乗客の監視をしている方にここへ入ってもいいか尋ねたら、どうぞお入り下さいとのこと。お仕事中悪いな…と思いつつ中へ入りました。結構紙が乱雑に置かれっぱなしになっていますが、いかにも仕事をしていますって感じです。 理知的なお顔の職員に船室でインターネット接続が出来るか聞いたところ、接続回線はISDNを使用しているので大変遅いです…とのこと。費用も1分間に1200yen掛かるとのことです。採算を度外視して緊急にインターネット接続をしなければならない報道関係者も使うことがあるそうですが、専ら報道関係者はインマルサットを使っているので滅多に利用されないとのことです。船内でのインターネット通信は、メールや気象衛星写真の受信に使われているそうです。 |
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