明治40年創業の三忠食堂名物は津軽そば。元々は農家の農作業の合間に簡単に食べる、おやつのようなものだったと言われています。一番の特長はそばのつなぎに小麦粉ではなく大豆粉や呉汁(水に浸して柔らかくした大豆をすりつぶしたものを入れた汁)を使うこと。
小麦粉の栽培量が少ない津軽地方だからこその食文化。身近な食材を使った製法には、気候風土が育んだ知恵と工夫が詰まっています。
家庭によって、微妙に作り方が違うとされている料理。三忠食堂の津軽そばにに欠かせない材料は、そば粉と大豆粉、そして出汁の材料となる焼き干しと昆布です。
そばがきを作り一晩寝かせて、ここにそば粉と大豆粉を混ぜあわせたものを製麺します。これを更に一晩寝かせたらお湯で茹でて、水洗いをして一食ずつにまとめたものを更に寝かせたらできあがり。力仕事で生地を作り、熟成の時間がそばの食感を作る。一つとして欠かせない仕事の積み重ねで津軽そばは作られます。
注文が入ったらそばを鍋でさっと温めなおす。茹で置きされたものなので時間はかかりません。ここに焼き干しと昆布を引いた出汁に醤油をくわえたおつゆと合わせて、きざみねぎ、海苔、そしてなるとを添えたらできあがりです。毎年さくらまつりの時期は、必ず行く店です。