ジャージー種は、牛の品種のひとつ。乳牛として飼育される。ホルスタイン程ではないが世界中に広く分布し、乳製品を多量に生産する国(デンマーク、ニュージーランド等)では最重要品種である。
この牛から取れる牛乳は、ジャージー乳と称される。乳質は濃厚で乳脂率5%、無脂固形分率9%を超える。乳は脂肪球が大きく、バターを作りやすい。またカロチンを豊富に含むため、黄色が濃い。乳量は少なめで、年間3,500kg程。最高日量はあまり多くないが、持続性が高い。イギリス領海峡諸島のジャージー島原産で、在来のブルトンとノルマンとの交雑に発するが、過去600年程純粋に保たれていると言われ斉一性が高いことで知られる。
日本では1874年(明治7年)にアメリカから輸入され、国内では群馬県において小規模に飼育される程度であまり増えなかったが、専業搾乳業者が飲用乳の乳脂率を調整するために少数飼育していた。
1954年(昭和29年)には食糧自給のための畜産振興を企図した酪農振興法の制定により、原料乳生産地帯に本種が奨励され、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカから1960年(昭和35年)頃までに12,400頭が輸入され、長野県・山梨県の八ヶ岳山麓地域や鹿児島県の霧島高原など集約農業地域の希望者に配布されたが、輸入先により差違があったと伝えられている。
その後25,000頭ほどまでに増えたが、牛乳メーカーが歓迎しなかった。飲用乳地帯の拡大に伴い乳量が多いホルスタイン種に押されて漸減し、現在の国内飼養頭数は10,000頭余りであると推測される。ホルスタインより濃厚な牛乳が取れるため、小規模な牧場で高脂肪、高品質を特色とした製品作りに使用されている。