小松政夫/語り
この眼鏡がドラマの中で大事な役割を果たします。
この眼鏡は、50年前に植木さんの付き人をやっていた時に、『舞台の合間をつなげ』と言われて生まれたものです。2500席のところに、3000人から4000人ものお客さんが立ち見をしていて、ドアが閉まらないから暗転ができない。その時に何かやれと。でも、何をやってもウケない。
どうにもならなくて、泣きながらホテルで考えていて、大阪の言葉で何かできないかと、眼鏡をかけての淀川長治さんの物まねができたんです。最初は、鉛筆で眉毛を書いていたのですが、ドカウケしまして、それで小道具さんが作ってくれました。
私のつたない自伝的小説を取り上げていただき、ドラマの形になり、こんな豪華な方たちに演じていただたいている。50何年間、この世界で生きてきて、最後にこんな素晴らしいプレゼントをいただけるなんて、もういつ逝ってもいい(笑)。
でも、もう少しお願いして頑張らせていただきたいです。ここまでやれたのは、ひとえに本人の努力の賜物です(笑)。いえいえ、皆さまのおかげです。