
今から15年前。佐藤オオキさんは、大学院の卒業旅行でミラノを訪れた。現地は、ちょうど世界最大級の家具見本市「ミラノサローネ」の開催期間中。建築を専攻していた佐藤さんは熱気に包まれた会場を歩き、著名なデザイナーたちが枠にとらわれず、家具やプロダクトをデザインしているのを目の当たりにした。デザインの自由さ、面白さにすっかり魅了され、一緒にいた友人たちと決意する。
「皆でデザインオフィスを始めようと盛り上がったんです」
帰国後、すぐに実家のガレージでオフィスを設立。nendo(ネンド)と名づけた。
佐藤さんが学生だった2000年前後は若者の起業が注目を集め始めていた。佐藤さんは学部生のころから貿易会社や人材派遣会社を経営した経験があり、nendo創設メンバーはもともと仕事仲間でもあった。