ハウス音楽はドラムマシンを使用して短いフレーズを繰り返すスタイルが確立されてからも、フィリーソウルのスタイルを模したものが非常に多かった。その意味では、少なくとも1980年代までのハウスはソウルミュージックの派生物であったとも言えよう。また、先駆者であるレヴァンや彼の「パラダイス・ガラージ」の客層と同様に、初期のシカゴ・ハウス音楽シーンもDJや客層は黒人のゲイが中心であった。
現在のスタイルが確立された1980年代中期以降、シカゴ・ハウスの隆盛やガラージュ人気の世界的な波及に伴い、世界各地でハウスを主体としたイベントの開催やアーティスト・DJの登場が相次ぎ、徐々に黒人以外の人種層にも浸透していくこととなる。決定打となったのは、1987年にイギリスのアーティストであるM/A/R/R/SがリリースしたPump up the Volumeの世界的なヒット、及び1988年にイギリスを中心に発生したムーブメント「セカンド・サマー・オブ・ラブ」やレイブの流行などであろう。こうした出来事を境にするかのようにしてアシッド・ハウスが大流行し、ハウスの趨勢は徐々にアメリカからヨーロッパに移行していくことになる。現在に至るも、ニューヨークやサンフランシスコのような一部の例外を除き、ハウス音楽の主要な消費地は誕生の地であるアメリカの国外であるヨーロッパや日本などである。ニューヨークなどで製作されるハウスのシングルレコードの7割近くが国外に輸出されているとも言われている。
1990年代に入ってからは音楽ジャンルの細分化が進み拡散していく一方、メジャーのアーティストがハウス音楽の独特のリズム(4つ打ち)を多用するようになるなど、さらに一般化の道を進んだ。現在ではアメリカ、イギリスやイタリアを中心としたヨーロッパやオーストラリア、イスラエル、日本を中心としたアジアなど、世界各地に大規模な支持層が存在する。