大気光とは、大気光学現象の一種で、地球などの惑星の大気が起こす弱い発光。英語では "airglow"と言い、通常夜間に観測されるので "nightglow" とも言う。大気光があるため、星明かりや太陽光の散乱が無かったとしても夜空は完全な暗黒にはならない。
大気上層において、大気光は様々な反応によって発生する。
・日中の太陽光による光イオン化反応で生成されたイオンの再結合。
・上層大気に放射される宇宙線によるルミネセンス。
・酸素や窒素が、数百km上空で水酸化物イオンと反応することによる化学発光。
太陽光の散乱があるため、これらは昼の間に観察することができない。
大気光は、可視光線での天体観測の妨げとなる。地上の観測所ではどんなに条件が良いところでも、大気光があるため望遠鏡の感度は制限される。このため、ハッブル宇宙望遠鏡などの宇宙望遠鏡は、可視光線観測では地上の望遠鏡よりはるかに鮮明な像を得ることができる。
夜間、大気光は観測可能なくらいに明るくなる場合がある。その色は通常青みがかっている。大気光の放射はどこでもほぼ一定であるが、地上から観察する場合には、仰角で10度付近の範囲が特に明るく見える。角度が低いほど発光する大気が重なるが、低すぎると大気によって光が減衰する。
大気光を発生する機構の一つは、窒素と酸素が結びついて一酸化窒素(NO)を生成する反応である。このプロセス中に光子が放たれる。一酸化窒素分子の性質により、この光はいくつかの波長をとる。この反応で使われる窒素原子と酸素原子は、大気上層の窒素分子(N2)と酸素分子(O2)が太陽エネルギーで分解されることで発生し、それらが出合って一酸化窒素になる。大気光を発生させる他の物質としては、水酸基、酸素、ナトリウム、リチウムなどがある。