1955年からノンフライのインスタントラーメンを製造していた松田産業(おやつカンパニーの前身)の創業者・松田由雄は、乾燥工程でこぼれ落ちるめんのかけらを見て思った。
「もったいない」
当時、インスタントラーメンのめんは天日に干して乾燥していたが、乾燥中にポロポロとめんのかけらが床に落ちる。いわゆる廃棄原料だ。が、食べられないものではない。ならば捨てるのはやめよう。そこでめんのかけらがこぼれ落ちる前に袋に受け、それに味を付けて揚げたものを社員におやつとして振る舞った。
これはうまい!おやつへの社員の評価は上々。そればかりかうわさを聞きつけた近隣の人々からも「欲しい、食べたい」と評判を呼ぶ。それを目にした松田は、「そこまで人気があるのなら、いっそのこと商品にして売ってみては」と思い着く。当時、インスタントラーメンは湯をかけて食べるのが常識だったが、湯をかけずに手づかみで食べるというスタイルに新しい可能性を感じた瞬間だった。
こうして1959年、「ベビーラーメン」が市場にリリースされた。子ども向け、小さいかけらのラーメン菓子から命名されたベビーラーメン。廃棄されるインスタントラーメンのかけらを新たな商品に転換する。そんな独自の発想から生まれたベビーラーメンは、ラーメンのスナック菓子というまったく新しいコンセプトの商品として世に現れた。
インスタントラーメンのめんには、湯で戻したときにコシを出すために「かんすい」が加えられている。が、ベビースターラーメンはそのまま食べるスナック菓子なのでかんすいは加えられていない。そのためベビースターラーメンに湯をかけるとふやけてしまい、食べるには適さないのだ。やはりそのまま口に入れるのがベビースターラーメンの“正しい”食べ方なのだ。
ベビースターラーメンと言えば初期のオレンジ色のパッケージを食べて育った世代なので、昭和末期にリニューアルされた今のキャラは好みではないです。当時は食べ過ぎて栄養が偏って蕁麻疹が出たこともあり、なるべくベビースターラーメンを食べないようにしています。