ブータン王国は南アジア、インドと中国の間にある友邦国。世界で唯一チベット仏教(ドゥク・カギュ派)を国教とする国家である。民族はチベット系8割、ネパール系2割。公用語はゾンカ語。首都はティンプー。
この国名の起源については様々な説がある。例えば、サンスクリット語で「高地」を意味する「ブーウッタン」説があるが、インドの側からの呼称で、インドからみればブータンは標高の高いところに位置していることによる。ブータンの人々は自国を「ドゥック・ユル」と呼ぶ。これは13世紀以降、仏教のカギュ派に属するドゥック派を国教としてきたので、自分たちをドゥクパ(カギュ派の中のドゥク派)、自国を「ドゥクパの国」(雷龍の国)と呼んでいる。
内陸国ブータンは、インドと中華人民共和国(チベット)という二大国に囲まれた地政学上非常に微妙な位置にある。インドとは東をアルナーチャル・プラデーシュ州、西をシッキム州、南を西ベンガル州及びアッサム州で接しており、その国境線は605kmに達する。また北の国境線470kmは中華人民共和国のチベット自治区と接している。中華人民共和国との国境の大部分はヒマラヤ山脈の上を走っている。従って国境線が確定していない部分も多く、国境画定交渉が現在も進められている。
国土は標高差が非常に大きく、南部の標高100mから北部の7,550mにわたっている。気候の多様性もはっきりとしている。ブータン南部は一般に暑く、湿気が多い気候であり、北部では万年雪が残る高山気候である。谷の多いブータンでは標高によって谷ごとに気候が変化することも多い。降雨量はレインシャドウ効果により短い距離で変化する。年間降水量はほとんどが雨期(モンスーン期:6月半ばから9月)に集中している。年平均降水量は、南部国境地帯で3,000-5,000mm、南部ヒマラヤ斜面地帯では1,200-2,000mm、内陸中央峡谷地帯で500-1,000mm、4,000m以上の高山地帯では500mm以下となっている。