熊肉は古来より食用とされてきた。21世紀の現在でも大量には出回らない食材。大日本猟友会によると、クマは年間1千から2千頭が捕獲されており、その内の1割程が食用となる。クマは全身を食用にでき、肉が少量であっても旨味が強い。汁物には脂身のある部位のほうが良いスープが出る。
東京家政学院大学客員教授の宗像伸子は、熊肉を調理し食用した感想として、脂身は融点が低く、甘みと旨味が強かったこと、肉が少量であっても旨味がスープに溶け出し、野菜にも味がよく染み込んだことを述べている。石川県の白山商工会によると、寒い地方の熊は、その肉は脂肪部分が多いが、サラッとした脂が特徴だとしている。
クマの肉が最も美味いのは、巣穴で冬眠中の3、4歳の個体、または冬眠直前とされている。これはツキノワグマ、ヒグマに関わらず、秋の木の実(ドングリなど)を食し、冬眠のための脂肪がのっているからである。次に美味しいのは4月下旬、“春クマ狩り”の頃のもの。夏のクマは、痩せて脂肪が乏しいうえに野生特有の匂いが強く不味いとされる。
熊肉は野生の肉であるため、臭みが強いと思われがちだが、原因は季節によって主に食べる餌が違うことと、狩猟後の血抜きで、個体差がでる。熊を狩猟したのち、すぐに締めて解体するなど、一定の技術がないと、臭みが出る。京都(滋賀)のある山荘は、「肉の柔らかさや匂いまで変わるため、仕留め方や解体方法が上手な信頼の置ける猟師からしか仕入れない」と語り、京風の出汁で熊肉を食する。
熊肉には身体を温める効果や、滋養効果が高いとされる。 また、熊肉には美肌効果があるといわれるコラーゲンが含まれ、特に中華料理の高級食材である「熊掌」は豊富にコラーゲンが含有され、美容に効果があると珍重される。白山商工会によると、熊鍋は、動物性蛋白質と食物繊維やビタミンなどが同時に摂取できるとしている。