ラーガ(रागा)は、インドで使用される非常にきめの細かい旋法であり、音階と混同してはならない。音階はあくまでもラーガの1要素に過ぎない。
ラーガは基本的に旋律を構築するための規則で、音列と同時に、メロディーの上行・下降の動きを定めるものである。つまり、音列上の特定の音をより強調する、より控え目にする、装飾音をつける、ビブラート等の規則があり、さらに使用すべき旋律形および避けるべき旋律形等の規則が存在する。それらの規則の枠組みの中で作曲や即興演奏がなされることにより、そのメロディーがどのラーガであるかが判別することが可能となり、その規則のなかでの無限の変奏が可能となる。また1日の朝、午後、夕方および夜ごとに、特定のラーガが存在する。
インド文化はざっと北と南に分割することができ、ラーガ:北インドは1つのセットを持っている。また、南インドは別のものを持っている。ラーガ名が重複していてもラーガ形式は重複しない。北インドではラーガが10のタート(thaats)または親の音階へ最近分類され、南インドは72の親ラーガを誇示してメーラカルタ(melakarta)分類と呼ばれるより古くより系統的な分類スキームを使用する。
ラーガはこれまでに成文化されたことがなく教師から生徒へ口頭で伝えられたために、中には地域、伝統および様式に応じて非常に異なる変種が存在する。インドの古典音楽は常にラーガで編曲されるが、すべてのラーガ音楽は必ずしも古典であるとは限らない。