スティーブン・ブラッドバリー(Steven Bradbury , 1973年10月14日 - )は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州シドニー市カムデン出身の男子スピードスケート(ショートトラック)選手。2002年に開催されたソルトレイクシティオリンピックの男子・ショートトラックスピードスケート1000mにおいて、誰もが思いもよらなかった結末で優勝を果たし、金メダルを獲得したことで有名。
決勝では先頭集団に大きく遅れをとり、再度スタートからレースの終盤まで最下位(5位)で追走する状況となり、後にブラッドバリーは「決勝では体が痛く、到底あのようなペースにはついていけなかった」と語っていた。しかし、ゴール直前の最終コーナーで前を走っていた4人の選手(オーノ、安賢洙、李佳軍、ターコット)が互いに接触し合い全員転倒したため、ひとり後方にいて難を逃れたブラッドバリーが転倒した4人を抜き、1位でゴール。準々決勝以降、ブラッドバリーの前を走る選手がゴール直前で次々と転倒したり、あるいはブラッドバリーより先にゴールした選手が失格になったりするなど、幾多の偶然と幸運が重なったことにより、ブラッドバリーは衝撃の金メダルを掴み取ることとなったのであった。なお、転倒したオーノとターコットはいち早く体勢を立て直したものの、脇を悠然とすり抜けるブラッドバリーには追いつけず、スライディングで足からゴールして2位・3位に終わった。
南半球では初めてとなる冬季五輪金メダルを獲得したため、オーストラリアではその功績をたたえ、彼の切手が発行された。金メダルを獲得するまでの経緯が上記のような勝ち上がり方だったため、オーストラリアの俗語辞典には、「漁夫の利を得る」「棚ぼたの勝利」「意図しなかったり普通では考えられない成功をなす」という意味で「ブラッドバリー("doing a Bradbury")」という言葉が掲載されているという。