鳩サブレーは、神奈川県鎌倉市の豊島屋が製造・販売する。名前が示す通り鳩を模した形が特徴。主に鎌倉の鶴岡八幡宮に参詣した人の土産として有名で、現在は神奈川県を代表する銘菓となっている。
鳩サブレーは、豊島屋の初代店主が店に来た外国人からもらったビスケットが原点である。フレッシュバターをふんだんに使用した製品だが、開発を始めた当時はバターが使われていることが分からず、それを見つけるまで大変苦労をしたという。ビスケットとの違いを出し、日本人に馴染みやすい味にするため、スパイスやフレーバーは使用していない。鳩の形となったのは、初代店主が鶴岡八幡宮を崇敬しており、本宮の掲額の八が鳩の向き合わせであることと、宮鳩が多数いるところから着想を得たためと言われている。
鳩サブレーは、明治時代末期の発売当初には「鳩三郎」とも呼ばれていた。これは、この菓子を開発した初代店主が最初に「サブレー」と言う耳慣れない単語を聞いた時に「サブレー」=「三郎」と連想したためである。また、当時は一般的にも「サブレー」という外来語よりも「鳩三郎」の方が馴染みがあり、通りがよかったという。現在でも鳩サブレーのマスコットグッズの中には「鳩三郎」の名称を付けられたものがある。ただし、「鳩三郎」はあくまでも初代が付けた愛称であり、正式な商品名は当初より「鳩サブレー」である。