ヒッピー(英:Hippie)とは、伝統・制度などの既成の価値観に縛られた人間生活を否定することを信条とし、文明以前の野生生活への回帰を提唱する人々の総称。1960年代後半に、アメリカ(発祥地はサンフランシスコのヘイト・アシュベリー地区の説)の若者の間で生まれたムーブメントで、のちに世界中に広まった。彼らの多くは、自然と愛と平和とセックスと自由を愛していると主張した。日本では、フーテンと呼称された時期もある。
「正義無きベトナム戦争」への反対運動を発端とし、愛と平和を訴え徴兵や派兵に反発した若者達がヒッピーの中心である。戦争に反対し、徴兵を拒否し、自然と平和と歌を愛し人間として自由に生きるというスタイルで、戦時下にあった全米で一大ムーブメントが起こった。
彼らは伝統的な社会や制度を否定し、個人の魂の解放を訴えた。伝統的キリスト教的価値観を否定し、欧米においては東洋の思想・宗教が広く紹介され、その系統を引くカルト宗教が多数創設され社会問題化した。
モットーが "Back to nature" であったためヒッピーの中には文明を否定して自然に回帰する者も現れ、現在の自然保護活動家の中にはこの系統を引く者も少なくない。しかしベトナム戦争の終結と薬物に対する取り締まりにより、1970年代前半頃から、徐々に衰えていく。
やがて1980年代後半~1990年代初期)に入って1960年代回帰の風潮とともに、再びヒッピー的な傾向を持った新しい世代の若者が現れるに至って、ネオ・ヒッピーやトラヴェラーなどの呼称も生まれた。これらの新しい傾向のヒッピーは、レイヴ・パーティやアンダーグラウンドのクラブ、サイケデリックトランス、グランジロック等の文化とリンクした形で誕生し、1960年代ほどの思想性を伴った大きなムーブメントとはならなかったが静かに広がりを見せて現在に至っている。